今デジタルツインが不動産業界で大注目！その理由と3つの事例

「不動産業界でのデジタルツイン活用事例を知りたい」
「不動産プロジェクトの効率や有効性を高めるための技術を導入したい」
「不動産業界のトレンドや知識をアップデートしたい」

不動産業界でデジタルツインは大きく注目されており、大企業や海外企業でも導入が進んでいます。

しかし、デジタルツインには課題点も多く、導入の目的やポイントを理解した上で導入する必要があります。

そこで本記事では、デジタルツインが不動産業界で注目されている理由や活用メリット、さらに企業の活用事例を解説します。

デジタルツインを実現する仕組みや現状の課題点と今後のビジョンなど、基礎的な知識についても解説するので参考にしてみてください。

不動産業界でデジタルツインが注目されている理由

デジタルツイン市場は、2030年までに1,000億ドルを超えるといわれています。

製造業・ヘルスケア・エネルギーをはじめ、幅広い業界業種で導入が進んでおり、住宅業界でも多くの企業が参入しています。

住宅業界でデジタルツインが注目されているのは、戦略・販売・マーケティングなどさまざまなフェーズで業務改革できるからです。

デジタルツイン技術を活用できれば、DXを大きく前進させ、競合優位性を獲得できるでしょう。

不動産業界でデジタルツインを活用するメリット

不動産業界でデジタルツインを活用するメリットは、次の3つです。

• 顧客やテナントの興味を引き付けやすくなる
• プロジェクト管理を効率化できる
• 商品・サービスの質を高められる

一つずつ解説していきます。

顧客やテナントの興味を引き付けやすくなる

デジタルツイン技術を利用すると、仮想的な空間で物件やプロジェクトのデモンストレーションを可能にします。

顧客やテナントは、物件の内部や設計の詳細を事前に体験でき、実際の物件を訪問する前に具体的なイメージを持てるようになります。

さらに、特定の設計変更やカスタマイズのリクエストに対しても、デジタルツインを使って変更した形をリアルタイムでシミュレーションできます。

このようなビジュアルな体験は、顧客の興味や関心を大いに引き付ける要素となり、決定を加速させられるでしょう。

プロジェクト管理を効率化できる

デジタルツインの導入により、リアルタイムのデータフィードバックやシミュレーションが可能になります。

プロジェクトの進行状況、コスト、品質などのキーパフォーマンスインディケーターをリアルタイムで監視し、必要に応じて迅速な調整や最適化が可能です。

また、想定外の問題や遅延が発生した場合でも、デジタルツインを活用して原因分析や対策の策定を迅速に行えるのも利点でしょう。

プロジェクトの遅延やコストオーバーランのリスクを最小限に抑えられるため、業務全体の効率化にもつながります。

商品・サービスの質を高められる

デジタルツインを活用することで、物件やプロジェクトのライフサイクル全体の最適化が図れます。

設計段階から維持・運用フェーズにかけて、リアルタイムのデータ分析やシミュレーションによって、最適な設計変更やメンテナンスのタイミングを特定できます。

このような継続的な最適化は、物件の耐久性の向上や、テナントの快適性の確保など、商品やサービスの質を大幅に向上させる要因となるでしょう。

不動産業界のデジタルツイン活用方法

不動産業界でデジタルツインを活用する方法には、次のようなものがあげられます。

• 物件のオンライン内見
• オンライン商談
• 戦略・開発時の参考資料
• 研修・教育用の資料

自社での活用をイメージしながら読み進めてみてください。

物件のオンライン内見

まずは、オンラインで物件の内見をする際の資料として活用できるでしょう。

アパートや戸建てを360度カメラで撮影し、その映像をデジタルツイン技術でオンライン上にそのまま生成します。

生成したバーチャル物件のデータは、ホームページやポータルサイト、SNSに掲載しましょう。

写真・動画・テキストのみの情報と比べて、空間の雰囲気や導線がイメージしやすくなるため、成約につながりやすくなります。

オンライン商談

デジタルツインで生成した物件の3Dモデルは、オンライン商談時の提案資料としても活用できます。

顧客へ物件案内する際やテナントに営業する際に、物件をイメージしやすいため、成約につながりやすくなります。

また写真や動画に比べて、インパクトも大きいため、商談のつかみも改善できるでしょう。

戦略・開発時の参考資料

戦略や開発時の参考資料としても有効です。

物件の3Dモデルは、過去の制作事例の資料として共有することで、スムーズに戦略設計を進められます。

また、デジタルツインはシミュレーションのフェーズでも活用できます。

地震等のリスクを予測し、効率的に設計を分析・改善できるでしょう。

研修・教育用の資料

新人の研修・教育用の資料としても活用できます。

自社のものづくりのこだわりや制作事例を、360度映像で共有可能です。

また、オフィスを3Dモデル化し採用サイトに掲載しておけば、採用戦略にも効果的でしょう。

不動産企業のデジタルツイン活用事例3つ

不動産業界ではデジタルツインを活用している企業も多く見られます。

その事例を3つご紹介します。

1.only you home

ONLY YOU HOMEは千葉県にある工務店です。

オーダーメイドでつくったこだわりの住宅を、Matterportで3Dモデル化しています。

生成した3Dモデルは、Webサイトに掲載しており、オンライン内見時の情報を充実させています。

ONLY YOU HOME様は、ちょっとしたチャレンジ精神で3Dモデルを導入しており、導入後にさまざまな活用方法を見出されました。

VR展示会や商談時の活用方法など、参考にしたい活用事例が多数あります。

下記記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

2.Sweden House

Sweden Houseは、全国各地のモデルハウスをMatterportで3Dモデル化しました。

3Dモデルを生成しただけでなく、そのデータ内に案内キャラクターやチャットボットを設置し、リアルな内見を実現しています。

さらに、タグ機能で家づくりのこだわりや設備の詳細説明も記載しているため、オンラインだけで充実した情報を届けられます。

オンラインで多くの情報を得た上で問い合わせてきた顧客は、購買意欲が高い傾向にあるため、成約しやすくなる効果も期待できるでしょう。

3.アクセンチュア×東急不動産

アクセンチュアと東急不動産は、戦略的なパートナーシップを締結し、不動産事業の変革を目指しています。

具体的には、販売予定のモデルハウスを3Dモデル化し、デジタルコンテンツを利用した販売促進に取り組んでいます。

デジタルコンテンツの制作は、アクセンチュアソングが主導し、東急不動産の不動産事業の発展に向けて挑戦しています。

（出典：https://www.accenture.com/jp-ja/insights/song/tokyu-land-digital-twin）

デジタルツインとは

ここまで不動産業界のデジタルツイン活用について解説していきました。

改めて、デジタルツインとはどのようなものなのか解説していきます。

デジタルツインを実現させる仕組み

デジタルツインとは、現実の物体をデジタル上で再現した仮想的なモデルを指します。

実物の動作や特性、状態をリアルタイムに反映・模倣できるように設計されています。

デジタルツインを実現する手順は次の通りです。

1. センサーから膨大なデータ情報を収集する
2. データを処理・分析する
3. 処理したデータパターンをAIに学習させる
4. 学習したパターンで未来を予測する
5. 3Dモデルで表現する

データ情報を収集するのに使われているのは「IoT」「センサー技術」。

そしてそれを処理・解析するのが「クラウドコンピューティング」です。

また、物理的なオブジェクトとしてデータを再現する必要がある場合は「3Dモデリング」と「シミュレーション」技術が必要になります。

現状の課題点とビジョン

デジタルツインの課題点としては、技術の不確実性が挙げられます。

センサーの誤差やデータの欠落、データ漏れ等のリスクが0とは言い切れません。

また、デジタルツインのシステムを扱える専門人材の不足も課題点の一つです。

有効に活用するためには、専門知識やスキルを保有した人材を確保する、もしくは外部に委託する必要があります。

これらの課題を克服するためには、技術の進化と業界の協力、さらに研究と開発の継続的な取り組みが必要でしょう。

不動産業界のデジタルツイン制作プラットフォーム

不動産業界のデジタルツイン制作プラットフォームはさまざまあります。

その中でも、今回は3Dモデリングの制作ツールをご紹介します。

• Matterport
• THETA

一つずつ見ていきましょう。

Matterport（マーターポート）

3Dモデリングとバーチャルツアー技術を提供するサービスです。

主に不動産、建築、旅行業界などで活用されており、現実の空間を詳細に3Dスキャンし、バーチャルリアルティでの体験や3Dモデルの閲覧を可能にします。

Matterportのシステムは、専用の3Dカメラや一般的なスマートフォンを使用して空間をスキャン。そのデータをクラウドベースのプラットフォームで処理して、リアルタイムで3Dモデルを生成します。

この3Dモデルは、ウェブブラウザやVRデバイスからアクセス可能で、ユーザーは仮想空間を自由に探索できます。

高い再現性と簡単な操作性は、3D空間キャプチャの分野でのリーダーとして確立しています。

Matterportの詳しい情報は「Matterport（マーターポート）とは？3つのメリットや活用事例を徹底解説」でもご覧いただけます。

また、Matterportの不動産活用に関しては「【不動産】Matterportで劇的に営業を効率化する方法！活用事例とメリット」も参考にしてみてください。

RICOH THETA（シータ）

THETAは、リコー社が開発・販売する360度全天球カメラです。

THETAは、一度のショットで360度の全方向を撮影できる特徴を持っています。

コンパクトで持ち運びやすいデザインになっており、スマートフォンやタブレットと組み合わせて操作・閲覧できます。

Matterportと同様に3Dモデルを生成できます。

THETAは10万円前後で手軽に購入・導入できるものもあるため、ぜひ検討してみてください。

デジタルツインで作る3Dモデルについては、下記の記事でも詳しく解説しています。

不動産業界の未来はデジタルツインで創る！

不動産業界でデジタルツインを活用する方法は多岐に渡ります。

製品開発のためのシミュレーションや戦略設計フェーズ、そしてマーケティングや営業活動でも有効に活用できます。

ただし、課題も残っています。積極的に取り入れ、試行錯誤することで、競合に差をつけられるでしょう。

弊社は、Matterport事業を展開しており、1,800施設以上の3Dモデルを制作した実績があります。

不動産業界の制作事例も多数ございますので、ご不明点やご要望はぜひお気軽にご相談ください。