BIM×デジタルツイン|3Dモデルで建物のライフサイクルを管理する方法

BIM×デジタルツイン|3Dモデルで建物のライフサイクルを管理する方法

BIM×デジタルツインとは、建物の3Dモデル(BIM)に、センサーやIoTから得たリアルタイムの状態データを重ね合わせ、現実の建物と同じ「双子」を仮想空間に再現する仕組みのことです。

設計から施工、そして数十年に及ぶ維持管理まで、建物のライフサイクル全体を1つの3Dモデルで一元管理できる点が注目されています。国土交通省が2023年度からBIM/CIM原則適用を進めたこともあり、建設・不動産業界での関心が急速に高まっています。

本記事では、BIMとデジタルツインの違いから、組み合わせる4つのメリット、導入の5STEP、費用相場までを順を追って解説します。建物の管理を効率化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

TL;DR

  • BIM×デジタルツインは、3DモデルとリアルタイムデータでBIMの設計情報を「生きた建物」として運用する仕組みです
  • 維持管理コスト削減・故障の予兆検知・省エネ最適化など、ライフサイクル全体で効果を発揮します
  • 導入費用は建物規模により数百万〜数千万円。スモールスタートで段階導入するのが現実的です

BIMとデジタルツインの違いとは?

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BIMは「建物の3D設計情報データベース」、デジタルツインは「現実をリアルタイムに映す仮想の双子」であり、両者を組み合わせると設計データが運用フェーズでも生き続けます。

BIM(Building Information Modeling)とは、建物の形状だけでなく、部材の材質・コスト・施工情報などを3Dモデルに統合したデータベースのことです。一方、デジタルツインとは、現実の物体や空間をセンサーデータでリアルタイムに再現し、シミュレーションや予測に活用する技術を指します。

この2つは似て非なるものです。BIMが「設計・施工時点の静的な情報」を扱うのに対し、デジタルツインは「運用中の動的な情報」を扱います。両者を掛け合わせることで、竣工後に眠りがちなBIMデータが、維持管理の現場で活躍するようになります。

項目BIMデジタルツイン
主な役割設計・施工の情報統合運用中のリアルタイム再現
データの性質静的(設計時点)動的(常時更新)
活躍フェーズ設計〜施工運用〜維持管理
主なデータ源設計図・仕様書センサー・IoT機器
代表的な用途干渉チェック・数量算出故障予測・エネルギー最適化
BIMとデジタルツインの役割・データ・活躍フェーズの違いを示す比較表

なぜ今「BIM×デジタルツイン」が注目されるのか

背景には、建物の老朽化と維持管理人材の不足という、業界共通の課題があります。

国土交通省の試算では、建設後50年以上経過する社会インフラの割合は今後加速度的に増加するとされています。限られた人手で膨大な建物を管理するには、3Dモデル上で状態を可視化し、優先順位をつけて手を打つ仕組みが欠かせません。BIM×デジタルツインは、まさにこの課題に応える技術といえるでしょう。

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BIM×デジタルツインで建物管理が変わる4つのメリット

BIM×デジタルツインの導入メリットは、維持管理コストの削減・故障の予兆検知・省エネ最適化・関係者間の情報共有という4点に集約されます。

ここからは、それぞれのメリットを一つずつ解説していきます。

メリット1:維持管理コストを削減できる

3Dモデル上で設備の劣化状況を可視化することで、無駄な点検や過剰な修繕を減らせます。

従来の建物管理では、紙の図面や経験則に頼った点検が中心でした。デジタルツインを使えば、どの設備がいつ更新時期を迎えるかをデータで把握できます。経済産業省の資料でも、予防保全への転換は事後保全と比べて保全コストを抑える効果があるとされています。

メリット2:故障の予兆を検知できる

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センサーが収集する温度・振動・稼働データをAIが分析し、設備が壊れる前に異常を知らせます。

たとえば空調機の振動データに異常が出た段階でアラートを出せば、突然の停止による業務影響を防げます。これは「予知保全」と呼ばれる考え方で、製造業のスマートファクトリーでも広く使われている手法です。

メリット3:エネルギー消費を最適化できる

建物全体のエネルギー使用状況を3Dモデル上で見える化し、ムダな消費を削減できます。

人の在不在や外気温に応じて空調・照明を自動制御すれば、省エネとCO2削減を両立できます。脱炭素経営が求められる今、この機能は大きな価値を持つのではないでしょうか。

メリット4:関係者間で情報を一元共有できる

設計者・施工者・オーナー・管理会社が、同じ3Dモデルを見ながら意思決定できます。

「図面と現場が違う」「前任者の引き継ぎがない」といった、建物管理でありがちなトラブルを防げます。情報が1つのモデルに集約されることで、関係者間の認識のズレが大幅に減少します。

BIM×デジタルツインが建物管理にもたらす4つのメリット:維持管理コスト削減・故障予兆検知・省エネ最適化・情報一元共有

BIM×デジタルツインを導入する5つのSTEP

導入は「現状把握→3Dモデル作成→センサー設置→データ連携→運用・改善」の5STEPで進めるのが基本です。

弊社Advalayでも、3Dスキャンによる現況モデル化から運用支援までを一気通貫でご支援しています。それぞれのSTEPを解説していきます。

STEP1:建物の現状を把握する

まず、対象となる建物の図面の有無や設備の状態を確認します。既存図面がない古い建物の場合は、後述の3Dスキャンで現況を取得します。

STEP2:BIMモデル(3Dモデル)を作成する

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設計図面、または3Dスキャンで取得した点群データをもとに、BIMモデルを構築します。点群データとは、レーザースキャナーで取得した無数の点の座標情報のことで、現実の空間を高精度に再現できるのが特徴です。

STEP3:センサー・IoT機器を設置する

温度・湿度・人感・電力量などのセンサーを建物に設置し、状態データを収集できる環境を整えます。すべてを一度に入れる必要はなく、効果の高い設備から始めるのがおすすめです。

STEP4:3Dモデルとデータを連携させる

センサーから得たデータを、BIMモデル上の該当箇所に紐づけます。これによって、3Dモデルを見るだけで「どこで何が起きているか」が直感的に把握できるようになります。

STEP5:運用しながら改善を重ねる

実際の運用データを蓄積し、シミュレーションの精度を高めていきます。デジタルツインは作って終わりではなく、使いながら育てていくものといえるでしょう。

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BIM×デジタルツインの費用相場

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費用は建物の規模と機能の範囲により幅があり、初期費用で数百万円〜数千万円、月額の運用費で数万円〜数十万円が目安です。

下記はあくまで一般的な目安です。既存図面の有無や建物の複雑さによって変動するため、正確な金額は見積もりで確認することをおすすめします。

規模・内容初期費用の目安月額運用費の目安
小規模(店舗・小規模オフィス)約200万〜500万円約3万〜10万円
中規模(中規模ビル・工場)約500万〜1,500万円約10万〜30万円
大規模(大型施設・複数棟)約1,500万〜数千万円約30万円〜

費用を抑えるコツは、最初から全機能を入れようとせず、課題の大きい設備から段階的に導入することです。スモールスタートで効果を確かめながら広げていく進め方が、失敗を避けるうえで現実的でしょう。

3Dスキャンによる現況モデル化の費用については、関連記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

BIM×デジタルツイン導入の5ステップ:現状把握→3Dモデル作成→センサー設置→データ連携→運用・改善

導入前に知っておきたい3つの注意点

BIM×デジタルツインの導入では、「目的の明確化」「データ整備」「運用体制」の3点でつまずくケースがよく見られます。

注意点1:目的が曖昧なまま始めない

「流行っているから」という理由だけで導入すると、宝の持ち腐れになりがちです。コスト削減なのか省エネなのか、解決したい課題を最初に定めましょう。

注意点2:既存データの整備を軽視しない

古い建物では正確な図面が残っていないことも珍しくありません。その場合は3Dスキャンで現況を取得する工程が必要になります。

注意点3:運用する人材・体制を用意する

ツールを入れるだけでは効果は出ません。データを読み解き、改善につなげる担当者や体制をあらかじめ決めておくことが大切です。

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よくある質問

BIMがなくてもデジタルツインは作れますか?

3Dスキャンで取得した点群データから3Dモデルを作成すれば、BIMがなくてもデジタルツインの構築は可能です。ただし、設備情報やコスト情報まで統合したいのであれば、BIMをベースにするほうが管理の幅が広がります。古い建物で図面がない場合は、まず3Dスキャンによる現況モデル化から始めるのが現実的でしょう。

小さな建物でも導入する意味はありますか?

店舗や小規模オフィスでも、エネルギー最適化や設備の予兆検知といった効果は十分に得られます。最初から大規模に構える必要はなく、効果の高い設備に絞ってスモールスタートするのがおすすめです。投資対効果を確かめながら範囲を広げていくとよいでしょう。

導入までにどのくらいの期間がかかりますか?

建物の規模や既存データの状況によりますが、現況把握から運用開始までおおむね3〜6ヶ月が目安です。既存のBIMデータが整っている場合は短縮でき、図面がなく3Dスキャンから始める場合は長くなる傾向があります。

BIMとデジタルツインは同じものですか?

別物です。BIMは設計・施工時点の静的な3D情報データベース、デジタルツインは運用中の状態をリアルタイムに映す仮想の双子です。両者を組み合わせることで、設計データを維持管理フェーズまで活用できるようになります。

まとめ:BIM×デジタルツインで建物のライフサイクルを管理しよう!

BIM×デジタルツインは、建物の3Dモデルにリアルタイムデータを重ね、設計から維持管理までライフサイクル全体を一元管理する仕組みです。維持管理コストの削減・故障の予兆検知・省エネ最適化・情報共有という4つのメリットを通じて、限られた人手でも建物を賢く管理できるようになります。

まずは課題の大きい設備からスモールスタートし、効果を確かめながら範囲を広げていく進め方を検討してみてはいかがでしょうか。

弊社Advalayは、3Dスキャン・点群データ・バーチャルツアーを2,500件以上制作してきた空間データ活用の専門企業です。建物の現況モデル化からデジタルツイン構築の入り口まで、撮影〜制作を一気通貫でご支援できます。ご相談は無料です。建物の用途やご予算をお聞かせいただければ、最適な進め方をご提案いたします。

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柴山 紘輔

柴山 紘輔

株式会社Advalay 代表取締役。Matterportを活用した3Dバーチャルツアーの制作・導入支援において、1,500施設以上の支援実績を持つ。不動産・建設・文化財・商業施設など、幅広い業界でのデジタルツイン活用を推進。

Advalay
Advalay編集部
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