デジタルツインで作る3Dモデルとは?東京都の活用事例とメリットも解説
デジタルツインで作る3Dモデルとは、実空間のデジタルレプリカのことです。
製品開発やメンテナンス、広報、採用などさまざまなビジネスシーンで最適化・効率化を促すDXアイテムとして注目されています。
ただし、時代や競合会社に遅れを取りたくない…と焦ってDXツールを導入して、使いこなせず終わってしまった企業も多数存在します。
そこで本記事では、デジタルツイン技術で作る3Dモデルの概要やメリットを詳しく解説し、事例もご紹介します。
またおすすめの制作ツールや実現方法についても説明するので、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
デジタルツインで作る3Dモデルとは
デジタルツインとは、物理的なオブジェクトや空間のデジタルレプリカを指します。
デジタルツイン技術で作る3Dモデルとは、下記の写真のように、実空間をオンライン上にそのまま反映させたバーチャル空間です。
3Dモデルは、物理的な形状や動作を繊細に表現します。
またリアルタイムな情報と連携することで、コミュニケーションを効率化し、生産性を格段に伸ばせるようになります。
使用できるフェーズとしては、製品の設計・テスト・運用・メンテナンスなど幅広いのが特長です。
さらに、商品・サービスやオフィス、工場などの広報・ブランディング・採用にも活用できます。
さまざまなフェーズにおける、業務の最適化や効率化をサポートする重要なツールとして、多様な産業分野での活用が進んでいるのです。
デジタルツインの3Dモデルのメリット
企業が、デジタルツインの3Dモデルを導入するメリットは次の3つです。
一つずつ解説していきます。
効率的にインパクトのあるプレゼンテーションを実現
デジタルツインの3Dモデルは、情報の視覚的表現としての強力なツールです。
リアルタイムでのビジュアル化は、製品やシステムの動作を視聴者に明瞭に伝える能力を持っています。
この視覚的なインパクトは、伝える情報の複雑さや詳細さに関係なく、効果的なコミュニケーションを可能にします。
さらに、3Dモデルを使った対話型のプレゼンテーションは、質問への即座の反応やデモンストレーションにおいて、双方向のコミュニケーションを強化します。
異なるシナリオや条件を事前にモデリングすることで、一連の動作や状況を具体的に展示でき、視聴者の理解を深めるのに役立ちます。
開発プロセスを効率化
3Dモデルを活用したデジタルツインは、製品開発の効率を大幅に向上させる可能性があります。
設計段階での早期の問題検出は、後の段階でのコスト高騰や時間の浪費を防ぐ鍵となります。
デジタルツインを用いることで、実際に物理的なプロトタイプを作成する前に、さまざまなシミュレーションを通じて設計の最適化を図れるのも美点です。
また、3Dモデルを共有することで、関係者やクライアントとのコミュニケーションが迅速に行え、設計の修正や改善がスムーズに進行します。
業務の生産性を格段に向上
デジタルツインの3Dモデルの導入は、業務の生産性を飛躍的に向上させる要因となります。
実際の製品テストの回数やコストを大幅に削減できるだけでなく、仮想環境でのトレーニングを通じて、スタッフのスキルアップを効率的に支援します。
この教育ツールとしての側面は、エラーや事故のリスクを低減させるための重要な要素です。
さらに、クラウド上での3Dモデルの共有は、リモートワークのサポートを強化し、グローバルなチームワークを促進する大きなメリットを提供します。
デジタルツインの3Dモデルの活用事例5選
デジタルツインの3Dモデルの活用事例をご紹介します。
一つずつ見ていきましょう。
1.東京都|デジタルツイン実現プロジェクト
東京都は、デジタルツイン技術を活用して、建物や街並みなど東京都全体を3Dモデル化しています。
3Dの都市モデルに、公共交通機関や河川などリアルタイムな情報を重ね合わせることでさまざまな課題解決に取り組んでいます。
3Dモデルで、気候変動や地震を予測できるため、都民の安全やQOL向上にもつながります。
また、東京都こどもホームページでは、「バーチャル社会科見学」と題して、子ども向けに東京都の3Dモデルを公開しています。
東京都庁や警視庁、小河内ダムなどさまざまな施設のバーチャルツアーを閲覧できます。
教育機関でも、今後さらに導入が進んでいくでしょう。
2.国土交通省|3D都市モデル「project plateau」
国土交通省は、デジタルツイン技術を使って「PLATEAU(プラトー)」と呼ばれるプラットフォームを運営しています。
PLATEAUは、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト。
都市のデータをだれでも自由に閲覧できるようにすることで、オープンイノベーションを創出するという取り組みです。
3.Sweden House|VRモデルハウスウォークスルー
大手ハウスメーカー「SwedenHouse」もデジタルツイン技術を非常にうまく活用しています。
全国各地のモデルハウスを、360度カメラで撮影し、3Dモデル化。
その3Dモデル内には、タグ機能で機能や家造りのこだわりを掲載しています。
またSweden House公式キャラクターによる接客も実施。
不動産住宅業界では、内見のスタイルが大きく変わりはじめています。
4.富士宮通運|バーチャル工場見学ツアー
富士宮通運でも、自社で保有している工場をデジタルツイン技術で3Dモデル化しています。
3Dモデルを生成したことで、社内のメンバーやクライアントなどさまざまなステークホルダーに、ものづくりのこだわりを伝えやすくなります。
その結果、成約率や業務の生産性も高められるでしょう。
さらに、求職者に対しても「デジタル技術を取り入れている最先端な企業・工場」という印象を与えやすく、ブランディングにもつながります。
富士宮通運の事例は、採用や広報などさまざまなシーンで3Dモデルの強みを活かしている事例といえるでしょう。
5.HH Angus|BIMを使ったスマートエンジニアリング
海外でもデジタルツインは導入されています。
エンジニアリングを得意とするHH Angusでは、Matterportで生成した3Dモデル、さらに3Dモデルを変換したBIMファイルで大幅な業務効率化に成功しています。
活用シーンとしては、現地調査、モデルの検証、設計、BIMファイルの生成など多岐にわたります。
導入の結果、スタッフ1人あたりの作業時間を40時間以上削減できたといいます。
また、これまでBIMファイルは0から制作していましたが、Matterportのデジタルツイン技術を使用することで瞬時にBIMファイルを生成できます。
そのため、BIMファイルの作成コストを70%以上削減するという大きな成果を上げています。
(出典:Matterport公式サイト)
デジタルツインの3Dモデルの実現方法
デジタルツインの3Dモデルを実現する方法は、次の通りです。
手順を一つずつみていきましょう。
1.360度カメラで空間をスキャン
まずは、3Dモデルのもととなる空間を360度カメラでスキャンします。
おすすめのカメラは後ほど詳しくご紹介しますが「Matterport」や「THETA」など、デジタルツインに対応しているカメラがおすすめです。
撮影に専門的なスキルや資格は不要ですが、大規模施設や複雑な空間を撮影する場合は特に撮影経験のあるスタッフが対応する必要があります。
社内に撮影に詳しい人材が不在の場合は、制作会社に撮影を依頼するのも良いでしょう。
2.専用のクラウドにデータをアップロード
撮影したデータは、専用のクラウドにアップロードします。
クラウドを選ぶ際は、必ず「3Dモデルを生成できるか」を確認しましょう。
クラウドによっては、天球画像はダウンロードできても、3Dモデルは生成できないケースもあります。
3.3Dモデルを編集
データをアップロードしたら、3Dモデルに編集を加えましょう。
たとえば、Matterportクラウドを使用する際は、タグ機能で写真・動画・PDFなどさまざまなコンテンツを追加することでより充実したデータが完成します。
unityのような、3DCGで制作するタイプの3Dモデルの編集ソフトでは対応できないため注意しましょう。
4.WebサイトやSNSにデータを公開
編集が完了したら、WebサイトやSNSにデータを公開しましょう。
3Dモデルからは、公開リンクが発行されます。
そのリンクを掲載すれば、24時間365日だれでもデータにアクセスできるようになります。
デジタルツインの3Dモデルを生成できるカメラ
デジタルツインの3Dモデルを生成できる代表的なカメラは次の2つです。
- Matterport
- THETA
各カメラの特徴と、おすすめしたい人の特徴をご紹介します。
Matterport
Matterport(マーターポート)は、アメリカのMatterport社が提供するカメラです。
住宅・建設業界をはじめ、幅広い業界で使用されています。
シリーズ最新のMatterport Pro3であれば、屋内だけでなく屋外のスキャンも可能です。
そのため、施設内は当然のこと、街並みや施設周辺の雰囲気まで3Dモデルに変換できます。
- 正確な3Dモデルを生成したい
- 個人活用よりビジネスシーンで活用する
- 大規模施設や屋外を撮影する可能性もある
Matterportの概要やメリット・デメリットは「Matterportとは?3つのメリットや活用事例を徹底解説」で詳しく解説していますので参考にしてみてください。
THETA
RICOHが提供するTHETAは、手頃な価格で手軽に3Dモデルを生成出来るのが特長です。
ただし、THETAのクラウドで生成できるのは天球映像のみで、3Dモデルを生成できません。
そのため、Matterportのような他サービスと連携させる必要があります。
また大規模施設の撮影では、スキャンエラーが起きたり、3Dモデルが乱れたりする場合もあるので注意が必要です。
- アパート程度の小規模施設を3Dモデル化したい
- 10万程度の手頃な価格でカメラを購入したい
THETAシリーズのスペック比較は「【プロ厳選】THETAのおすすめ機種5つ!使い方と評判も解説」でも詳しく比較していますので、ご自身にマッチする機種を探してみてください。
まとめ:デジタルツインの3DモデルでDXを加速させよう!
デジタルツインの3Dモデルは、ビジネスモデルや業務プロセスを大きく改善するDXをツールとして多方面から注目を集めています。
3Dモデルを導入することで、シミュレーションの高速化やコミュニケーションの効率化などさまざまなメリットがあります。
活用方法の幅は、デジタル技術や活用アイデアによって広がっていくので、ぜひ社内でも検討してみてください。
弊社は、Matterport事業を展開しており、1,800施設以上の3Dモデルを制作した実績があります。
3DモデルやMatterportに関するご不明点や活用方法に関するお問い合わせは、ぜひお気軽に下記からご相談ください。