不動産・建設業のバーチャル内覧/3Dスキャン導入事例|内見効率と現場管理を変えた実例

不動産・建設業のバーチャル内覧とは、物件や現場を3Dスキャンで丸ごとデジタル化し、Web上で自由に歩き回るように閲覧できる仕組みのことです。
「内見の日程調整に追われて、成約までのリードタイムが伸びている」「現場と事務所の往復だけで1日が終わってしまう」——不動産会社や建設会社の方から、こうしたご相談をいただく機会が増えました。物件も現場も「実際に行かないと分からない」という前提が、業務効率を大きく制限してきたためです。
本記事では、不動産・建設業でバーチャル内覧および3Dスキャンを導入した7つの事例を、課題・導入内容・成果の数値までそろえて紹介します。費用相場や失敗しやすいポイントもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の結論
- バーチャル内覧の効果が最も出るのは「遠方顧客が多い」「内見のドタキャンが多い」物件を扱う会社です
- 建設業では内覧より「竣工時の現況記録」「遠隔での進捗確認」で費用対効果が出ています
- 費用は1物件5万〜30万円が相場。100㎡前後の住宅なら8万〜15万円が目安です
不動産・建設業でバーチャル内覧の導入が進む3つの背景

不動産・建設業でバーチャル内覧の導入が加速している理由は、「遠隔での意思決定ニーズの高まり」「人手不足による移動コストの見直し」「Webでの情報量が集客力に直結する構造への変化」の3点です。国土交通省が2022年5月に賃貸取引の完全電子契約を解禁して以降、内見から契約までを非対面で完結させる流れは業界標準になりつつあります。弊社Advalayでも、2024年以降の不動産・建設分野からのご相談は前年比で約1.8倍に増えました。

背景1:遠方・多忙な顧客が「現地に来られない」
転勤に伴う住み替え、地方から都市部への進学、海外赴任からの帰任。こうした顧客は物理的に内見に来られません。従来は写真と間取り図だけで判断を迫るしかなく、契約後の「イメージと違った」という解約リスクを抱えていました。
3Dスキャンで作成したバーチャル内覧なら、自宅にいながら部屋の広さ・天井高・窓からの景色まで確認できます。実際に、遠方顧客の比率が3割を超える賃貸仲介会社では、バーチャル内覧の導入後に「来店前に物件を絞り込めている顧客」の割合が大きく高まる傾向が見られます。
背景2:人手不足で「移動時間」を削らざるを得ない
内見1件あたりの拘束時間は、移動を含めて平均1.5〜2時間ほどかかります。1日4件案内すれば、それだけで営業担当の1日が埋まります。
建設現場でも同様です。工事監理者が複数現場を掛け持ちする場合、現場間の移動が1日2〜3時間に達することも珍しくありません。3Dスキャンによる現況記録は、この「行かないと分からない」を「見れば分かる」に変える手段として注目されています。
背景3:Web上の情報量が反響数を左右する
物件ポータルサイトでの競争は激化しており、写真枚数や情報の充実度が反響数に直結します。バーチャル内覧を掲載した物件は、掲載していない物件と比べて閲覧滞在時間が伸びる傾向があり、結果として問い合わせにつながりやすくなります。
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不動産業のバーチャル内覧 導入事例4選

不動産業でのバーチャル内覧は、賃貸仲介・売買仲介・新築分譲・商業テナントで効果の出方が異なります。ここでは業態別に4つの事例を、課題から成果まで一つずつ解説していきます。
事例1:賃貸仲介会社(首都圏・従業員18名)— 内見件数が2.4倍に
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業態 | 賃貸仲介(管理戸数約1,200戸) |
| 課題 | 繁忙期の内見枠不足・遠方顧客の取りこぼし |
| 導入内容 | 主力物件120室の3Dスキャン撮影 |
| 費用 | 1室あたり約6万円(ワンルーム中心) |
| 成果 | 実質内見件数2.4倍・来店前の物件絞り込み率68% |
導入前の状況
1〜3月の繁忙期は内見予約が埋まり、「見たい日に見られない」という理由で他社に流れる顧客が発生していました。営業担当5名で1日あたり最大20件が案内の限界です。
導入後の変化
主力物件120室をバーチャル内覧化したところ、顧客は来店前に候補を2〜3件まで絞り込んだ状態で来社するようになりました。現地案内は「最終確認」の位置づけに変わり、1件あたりの案内時間が短縮されています。
バーチャル内覧の閲覧数を「実質的な内見」として数えると、月間の内見件数は導入前の約2.4倍に相当しました。現地案内の件数は変えずに、接触機会だけを増やせた点が最大の効果です。
事例2:売買仲介会社(地方都市・従業員9名)— 中古戸建ての成約期間が32%短縮
中古戸建ては「築年数」や「リフォームの必要性」への不安から、検討期間が長引きやすい商材です。この会社では、売主から預かった物件を全戸3Dスキャンし、間取り図と実際の空間を紐づけて公開しました。
成果として、掲載から成約までの平均日数が98日から67日へと32%短縮されました。担当者からは「電話で『あの部屋の収納の奥行きは?』と聞かれたとき、その場でバーチャル内覧のURLを送って一緒に見ながら話せるのが大きい」との声が上がっています。
さらに、遠方に住む相続人が売主となるケースでは、売主自身への現況報告ツールとしても機能しました。
事例3:新築分譲マンション(デベロッパー・全84戸)— モデルルーム維持コストを年間約400万円削減
新築分譲では、モデルルームの設営・維持に多額の費用がかかります。この事例では、モデルルーム1タイプを3Dスキャンし、他のタイプはCGパース(設計データから作成する完成予想図)と組み合わせて全間取りをWeb公開しました。
| 項目 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| モデルルーム設置数 | 3タイプ | 1タイプ |
| 年間維持費 | 約1,050万円 | 約650万円 |
| 資料請求からの来場率 | 22% | 31% |
Web上で複数タイプを比較できるようにしたことで、来場前の検討度合いが高まり、来場率が9ポイント上昇しました。モデルルーム削減による年間約400万円のコスト削減と合わせて、投資回収は初年度で完了しています。
事例4:商業テナント仲介(全国・従業員32名)— 遠方事業者からの問い合わせが1.7倍
飲食店や小売店の出店を検討する事業者は、複数エリアの物件を同時に比較します。しかし全国を回るのは現実的ではありません。
この会社では、坪単価の高い都心テナント約60区画を3Dスキャンし、天井高・柱位置・設備の位置まで確認できる状態で公開しました。結果、県外事業者からの問い合わせが1.7倍に増加しています。
厨房ダクトの位置や躯体の状態といった「写真では伝わりにくい情報」を可視化できたことが、遠方事業者の意思決定を後押ししました。

建設業の3Dスキャン導入事例3選
建設業における3Dスキャン活用は、内覧よりも「現況記録」「進捗管理」「改修前の実測」で費用対効果が出ています。3つの事例を紹介していきます。
事例5:総合建設会社(従業員120名)— 現場往復が40%削減
工事監理者3名が5〜7現場を掛け持ちし、1日平均2.5時間を移動に費やしていました。
そこで、各現場の主要工程節目(躯体完了時・設備配管完了時・内装下地完了時)で3Dスキャンを実施し、クラウド上で共有する運用に切り替えました。
| 効果項目 | 数値 |
|---|---|
| 現場往復回数 | 40%削減 |
| 移動時間の削減 | 監理者1名あたり月約20時間 |
| 手戻り工事の発生件数 | 前年比28%減 |
配管位置を記録しておくことで、内装施工後に「どこに何が通っているか」を確認できるようになり、開口位置のミスによる手戻りが減少しました。
事例6:リフォーム会社(従業員24名)— 見積作成時間が半減
リフォームの見積作成では、現地調査での実測が必須です。従来は担当者が採寸し、事務所に戻って図面化していました。
3Dスキャンを導入したことで、現地での作業は撮影のみとなり、寸法はスキャンデータ上で後から何度でも計測できるようになりました。見積作成にかかる時間は1件あたり平均4時間から2時間へと半減しています。
「採寸漏れで現場に戻る」という手戻りがなくなった点も、担当者の負担軽減につながりました。
事例7:設備工事会社(従業員45名)— 改修工事の図面照合工数を大幅圧縮

築30年以上の建物では、竣工図と現況が一致しないケースが頻発します。この会社では改修前に機械室・天井裏を3Dスキャンし、点群データ(空間を無数の点の集合として記録したデータ)から現況を把握する運用を始めました。
現地調査の回数が平均3回から1回に減り、「図面と違った」ことによる工期遅延が解消されています。
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バーチャル内覧・3Dスキャンの費用相場
バーチャル内覧・3Dスキャンの費用は、対象面積と撮影方式によって1物件あたり5万〜30万円が相場です。100㎡前後の住宅であれば8万〜15万円が目安になります。弊社Advalayでは制作実績3,000件以上のデータをもとに、面積と用途に応じた見積を提示しています。
| 対象 | 面積目安 | 費用レンジ | 撮影所要時間 |
|---|---|---|---|
| ワンルーム賃貸 | 20〜30㎡ | 5万〜8万円 | 30〜45分 |
| ファミリー向け住宅 | 70〜120㎡ | 8万〜15万円 | 1〜2時間 |
| 商業テナント | 50〜200㎡ | 10万〜20万円 | 1.5〜3時間 |
| 建設現場(1工程) | 300〜1,000㎡ | 15万〜30万円 | 2〜4時間 |
| 大規模施設 | 1,000㎡〜 | 別途見積 | 半日〜1日 |
費用に含まれる主な項目
- 現地撮影費(人件費・機材費)
- データ処理・クラウド公開設定費
- 間取り図・寸法データの作成費(オプション)
- 月額のホスティング費(数千円〜)
複数物件をまとめて依頼すると、1件あたりの単価は下がる傾向があります。賃貸仲介のように継続的に撮影が発生する場合は、年間契約での単価交渉が有効です。
内製と外注の判断軸

| 判断軸 | 内製が向くケース | 外注が向くケース |
|---|---|---|
| 撮影頻度 | 月10件以上 | 月数件程度 |
| 品質要求 | 社内共有中心 | 顧客向け公開 |
| 初期投資 | 機材50万〜100万円を許容できる | 初期投資を抑えたい |
| 人員 | 専任担当を置ける | 専任を置けない |
月10件を超える撮影が継続的に発生するなら、機材購入と担当者育成による内製化が有利になります。一方、月数件かつ顧客向けの高品質な仕上がりが必要なら、外注のほうが総コストは低く収まるでしょう。

自社に合った導入方法の選び方・判断軸
導入方法の選択は、「何を解決したいのか」から逆算して決めるのが確実です。目的が曖昧なまま撮影だけ進めると、活用されないデータが残るだけになってしまいます。
目的別の推奨パターン
遠方顧客の取りこぼしを減らしたい場合 → 全物件のバーチャル内覧化
反響の3割以上が遠方顧客なら、主力物件から順に全件撮影する価値があります。物件数が多い場合は、成約単価の高い物件から着手するのが効率的です。
内見の質を上げたい場合 → 主力物件のみ高品質撮影
物件数を絞り、間取り図・寸法データ・設備の詳細情報まで作り込みます。「来店前の絞り込み」が目的なので、量より情報の密度が効きます。
現場管理の効率を上げたい場合 → 工程節目での定期スキャン
建設業では、躯体完了時・設備配管完了時など、後から見えなくなる部分を記録するタイミングを決めておくことが重要です。全期間を記録する必要はありません。
改修・リフォームの実測を効率化したい場合 → 調査時スキャンの標準化
現地調査のフローに撮影を組み込み、採寸を後工程に回します。1現場あたりの調査時間削減が直接的な効果になります。
判断に迷ったときの優先順位
- 移動コスト(人件費×時間)が最も大きい業務はどれか
- その業務は「現地に行かないと分からない」ことが原因か
- 原因がそうであれば、3Dスキャンの費用対効果が出やすい
この3つの問いに答えるだけで、着手すべき領域は絞り込めるはずです。
導入で失敗しやすい3つのポイント
事例を重ねる中で見えてきた、つまずきやすい箇所を共有します。事前に押さえておけば、多くは回避できるでしょう。
失敗1:撮影して満足し、運用フローに組み込まない
最も多いパターンです。撮影データを作ったものの、営業担当が顧客に送る習慣がなく、閲覧数が伸びないというケースが起きます。
対策は、既存フローへの組み込みを撮影前に決めておくことです。「問い合わせメールのテンプレートにURLを入れる」「ポータルサイトの掲載時に必ずリンクを設置する」といった具体的な運用ルールまで決めてから撮影に入りましょう。
失敗2:撮影範囲を欲張りすぎてコストが膨らむ
全物件・全区画を一度に撮影しようとすると、初期投資が回収困難な規模になります。
まずは10〜20件の試験導入で効果を測定し、閲覧数や問い合わせ数の変化を確認してから拡大するのが安全です。効果検証の期間は3ヶ月程度を見ておくといいでしょう。
失敗3:撮影時の準備不足で品質が落ちる
家具の乱れ、照明の消灯、カーテンの閉め切り。こうした状態で撮影すると、実物より印象が劣るデータになってしまいます。
撮影前の準備が品質の8割を決めます。照明を全点灯し、カーテンを開け、生活感のある物品を片付ける。この3点だけで仕上がりは大きく変わります。
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よくある質問

バーチャル内覧を導入すると、現地内見は不要になりますか?
不要にはなりません。バーチャル内覧の役割は「絞り込み」であり、最終的な意思決定は現地で行われるケースが大半です。事例1の賃貸仲介会社でも、成約前の現地内見率は9割を超えています。現地内見をなくすのではなく、現地に行く前の候補を絞ることで、案内の効率と成約率を高めるものと考えてください。
撮影から公開までどのくらいの期間がかかりますか?
一般的な住宅であれば、撮影当日から3〜5営業日が目安です。間取り図や寸法データの作成を含める場合は、さらに2〜3営業日を見込んでおくと安心です。急ぎの物件がある場合は、事前に相談しておくと調整できることがあります。
空室でないと撮影できませんか?
入居中でも撮影は可能ですが、生活用品が映り込むため公開用としては推奨されません。退去確定から次の入居者募集までの空室期間に撮影するのが一般的です。建設現場や商業テナントの場合は、稼働中でも工程の節目に撮影するケースがあります。
複数社を比較検討する際、どこを見るべきですか?
比較のポイントは3点です。第一に撮影実績の件数と業種の合致度、第二に納品データの形式と二次利用の可否、第三に月額のホスティング費用と契約期間の縛りです。特に3点目は総コストに大きく影響するため、初期費用だけで比較しないよう注意してください。
導入前に効果を試す方法はありますか?
主力物件1〜2件から始める「試験導入」をおすすめします。同条件の物件で掲載後の閲覧数・問い合わせ数を比較すれば、自社での効果を数値で判断できます。費用も10万〜20万円程度に収まるため、稟議も通しやすいでしょう。
建設現場での3Dスキャンは、BIMデータと連携できますか?
連携は可能です。点群データをBIM(建物情報を3次元モデルで管理する仕組み)ソフトに取り込み、設計モデルと現況を重ね合わせる運用が広がっています。ただし、点群データの形式やBIMソフトの対応状況によって手順が変わるため、事前に使用ソフトを共有したうえで相談するのが確実です。
まとめ:自社の課題に合ったバーチャル内覧・3Dスキャンを導入しよう!
不動産・建設業におけるバーチャル内覧および3Dスキャンの導入事例を7つ紹介しました。不動産業では内見件数2.4倍・成約期間32%短縮・モデルルーム維持費年間400万円削減といった成果が、建設業では現場往復40%削減・見積作成時間半減といった効果が確認されています。
重要なのは、撮影そのものではなく「どの業務のどの移動コストを削るか」を先に決めることです。目的が明確であれば、10〜20件の試験導入からでも効果は数値で確認できます。まずは自社で最も移動コストが大きい業務を洗い出すところから始めてみてはいかがでしょうか。
弊社Advalayは、バーチャルツアー・3Dスキャンを3,000件以上制作してきた専門企業です。不動産・建設業向けに、撮影から公開・運用フローの設計まで一気通貫でご支援できます。
「まず1物件だけ試したい」「自社の物件で費用感を知りたい」といった段階でも構いません。ご相談は無料です。物件数や用途をお聞かせいただければ、最適な進め方をご提案いたします。
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