ドローン測量 vs 3Dスキャン|用途別の使い分けガイド

ドローン測量と3Dスキャンは、どちらも現場をデジタルデータ化する測量技術ですが、得意とする対象範囲・精度・コストが大きく異なります。

建設・土木・不動産業界では、現場のデジタル化が急速に進んでいます。2023年度からの国土交通省によるBIM/CIM原則適用も追い風となり、「現場を3Dデータにしたい」というニーズが高まっています。しかし、ドローン測量と3Dスキャンのどちらを選ぶべきか迷うケースも少なくありません。

本記事では、ドローン測量と3Dスキャンの違いを精度・費用・用途・対象範囲の4つの観点で比較し、用途別の最適な使い分けを解説します。「どちらの技術が自社の現場に合っているのか知りたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

ドローン測量とは?特徴と仕組み

ドローン測量とは、無人航空機(ドローン)にカメラやLiDARセンサーを搭載し、上空から地形・建物・構造物のデータを取得する測量手法です。

ドローンが撮影した大量の写真をフォトグラメトリ技術で処理し、3Dモデルやオルソ画像(正射投影画像)、点群データを生成します。広範囲を短時間で測量できるのが最大の特徴です。

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ドローン測量の2つの方式

方式仕組み精度特徴
写真測量(フォトグラメトリ)複数の航空写真から3Dモデルを生成数cm〜数十cm低コスト。色情報が豊富
LiDAR測量レーザーで距離を計測し点群データを生成数mm〜数cm高精度。植生下の地表面も取得可能

写真測量は初期投資が比較的低く、LiDAR測量は樹木や草に覆われた地表面のデータも取得できるという利点があります。

3Dスキャンとは?特徴と仕組み

3Dスキャンとは、レーザースキャナーやLiDARセンサーを使って、対象物の形状を高精度な点群データとして取得する技術です。

地上に設置した三脚やハンディスキャナーを使い、建物の内部・外部、設備、構造物などを数mm単位の精度で計測します。屋内空間の計測や、設備の寸法を正確に把握したい場合に適しています。

弊社Advalayでは、3Dスキャンによる空間デジタル化を累計5,000件以上実施してきた実績があります。建物・工場・施設の用途や目的に応じて、最適なスキャン手法をご提案しています。

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3Dスキャンの主な方式

方式仕組み精度特徴
据え置き型レーザースキャナー三脚に設置し、360度回転しながらレーザーで計測±1〜2mm最高精度。大空間にも対応
ハンディスキャナー手持ちで対象物の周囲を歩きながら計測±数mm〜1cm機動性が高い。狭い空間に向く
モバイルスキャナー歩行しながら周囲を同時計測±1〜3cm広い屋内を効率的に計測

ドローン測量と3Dスキャンの違いを4つの観点で比較

ドローン測量と3Dスキャンは、それぞれ得意分野が異なります。ここでは4つの重要な観点から違いを整理します。

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比較一覧表

比較項目ドローン測量3Dスキャン
精度数cm〜数十cm(LiDAR: 数mm〜数cm)±1mm〜数cm
対象範囲広範囲(数百m〜数km)限定範囲(数m〜数百m)
取得速度非常に速い(数十haを1日で計測可能)中程度(建物1棟で数時間〜1日)
屋内計測不可可能(得意分野)
費用相場30万〜100万円/回20万〜80万円/回
天候の影響大きい(雨天・強風は飛行不可)小さい(屋内は天候無関係)
法規制航空法の規制あり(飛行許可が必要)特になし
データ形式オルソ画像・DSM・点群点群・3Dメッシュ・BIMモデル

観点1:精度の違い

3Dスキャンは据え置き型レーザースキャナーを使用した場合、±1〜2mmという高い精度でデータを取得できます。設備の寸法確認やBIMモデルとの照合など、ミリ単位の精度が求められる用途に適しています。

一方、ドローン測量は写真測量の場合で数cm〜数十cm程度の精度です。地形の全体像を把握する用途には十分ですが、設備の詳細な寸法を測りたい場合には精度不足になる可能性があります。ただし、ドローンにLiDARを搭載した場合は数mm〜数cmの精度が得られ、3Dスキャンに近い精度を実現できます。

観点2:対象範囲と効率

ドローン測量は、広大な敷地や山間部など、人の立ち入りが困難な場所を効率的に測量できます。数十ヘクタールの造成地でも1日で計測が可能です。

3Dスキャンは建物1棟や設備1台といった限定的な範囲の計測に向いています。広大な敷地をすべて3Dスキャンで測量しようとすると、膨大な時間とコストがかかります。

観点3:屋内と屋外

これが最も明確な使い分けポイントです。ドローン測量は原則として屋外専用であり、屋内空間のデータ取得はできません。3Dスキャンは屋内・屋外の両方に対応しており、特に屋内空間のデジタル化には欠かせない技術です。

工場の内部レイアウトや、建物の各フロアの寸法を把握したい場合は、3Dスキャン一択になります。

観点4:費用の違い

費用は計測範囲や目的によって大きく変動しますが、一般的な目安は以下のとおりです。

用途ドローン測量3Dスキャン
造成地の地形測量(1ha)30万〜50万円非効率(非推奨)
建物外観の計測(1棟)20万〜40万円20万〜50万円
建物内部の計測(1フロア)対応不可15万〜40万円
広域インフラ点検(1km)50万〜100万円非効率(非推奨)

用途別の使い分けガイド

ここからは、具体的な用途ごとにどちらの技術を選ぶべきかを解説します。

ドローン測量がおすすめな場合

以下の条件に当てはまる場合は、ドローン測量が適しています。

  • 広大な敷地の地形測量: 造成地・農地・山林など数千㎡〜数十haの範囲
  • 土量計算: 建設現場の切り土・盛り土の量を算出する場合
  • インフラの点検・監視: 橋梁・ダム・送電線など高所にある構造物
  • 災害時の被害状況把握: 広範囲の被害状況を短時間で把握したい場合
  • 農業での生育管理: 農地全体の植生状況を俯瞰的に把握したい場合

3Dスキャンがおすすめな場合

以下の条件に当てはまる場合は、3Dスキャンが適しています。

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  • 建物内部のデジタル化: 工場・オフィス・病院・商業施設の屋内空間
  • BIMモデルの作成(Scan to BIM): 既存建物をBIMモデルに変換したい場合
  • 設備の寸法確認: 配管・ダクト・機械設備の正確な寸法が必要な場合
  • リノベーション計画: 改修前の現況を正確にデジタル化したい場合
  • バーチャルツアーの制作: 施設をオンラインで体験できるコンテンツを作りたい場合

両方を組み合わせるのが最適な場合

大規模プロジェクトでは、ドローン測量と3Dスキャンを組み合わせるケースが増えています。

  • 建設現場の全体管理: ドローンで敷地全体の地形を計測 + 3Dスキャンで建物内部を計測
  • 工場の新設・増設: ドローンで敷地の現況を把握 + 3Dスキャンで既存設備のレイアウトを取得
  • 大規模施設のデジタルツイン: ドローンで外観 + 3Dスキャンで屋内を統合した3Dモデルを構築

弊社Advalayでは、3Dスキャンを中心に5,000件以上の空間デジタル化を支援してきましたが、ドローン測量との併用が最適な場合にはパートナー企業と連携してワンストップで対応しています。

ドローン測量の注意点

ドローン測量を実施する際には、いくつかの規制や制約があります。

航空法の規制

2022年12月の改正航空法施行により、100g以上のドローンは機体登録とリモートID搭載が義務化されています。さらに、人口集中地区(DID)や空港周辺、夜間飛行などの場合は、国土交通大臣の許可・承認が必要です。

天候の制約

雨天・強風時はドローンの飛行が困難であり、測量データの品質にも影響します。天候に左右されやすい点は、屋内作業が可能な3Dスキャンとの大きな違いです。

飛行制限エリア

空港周辺・重要施設の上空・国立公園内など、飛行が制限されるエリアがあります。事前に飛行ルートの確認と必要な許可の取得が不可欠です。

3Dスキャン導入時の注意点

3Dスキャンにも、導入前に知っておくべきポイントがあります。

データ容量が大きい

高精度な点群データはファイルサイズが非常に大きくなります。建物1棟のスキャンデータで数GB〜数十GBになることも珍しくありません。データの保存・共有・処理には十分なストレージとPCスペックが必要です。

計測範囲に限りがある

据え置き型スキャナーの場合、1回のスキャンで取得できる範囲は半径数十m程度です。広い建物や複数フロアを計測する場合は、複数地点からのスキャンを重ね合わせる作業(レジストレーション)が必要になります。

専門知識が必要

3Dスキャンデータの処理やBIMモデルへの変換には、専門的なソフトウェアと技術が必要です。自社で内製化する場合は、担当者の育成コストも考慮しましょう。外部の専門企業に委託するのも有効な選択肢です。

デジタルツインとの連携

ドローン測量と3Dスキャンで取得したデータは、デジタルツインの構築にも活用できます。デジタルツインとは、現実の建物・設備・地形を仮想空間上にリアルタイムで再現する技術です。

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ドローン測量 × デジタルツイン

広域の地形データをドローンで定期的に取得し、デジタルツインに反映することで、造成工事の進捗管理やインフラの経年変化の監視が可能になります。国土交通省のProject PLATEAUでも、ドローン測量データが3D都市モデルの基盤として活用されています。

3Dスキャン × デジタルツイン

建物内部の3DスキャンデータにIoTセンサー情報を連携させることで、施設のデジタルツインが実現します。設備の稼働状況をリアルタイムで監視したり、レイアウト変更のシミュレーションを仮想空間上で行ったりできます。

弊社Advalayでも、3Dスキャンデータを起点としたデジタルツイン構築の支援実績が増えています。まずは現場を3Dデータ化することが、デジタルツインへの第一歩です。

よくある質問(FAQ)

Q1. ドローン測量と3Dスキャンは同時に使えますか?

はい、同時に使用できます。大規模プロジェクトでは、ドローンで屋外・広域の地形データを取得し、3Dスキャンで屋内・設備の詳細データを取得する組み合わせが一般的です。両方のデータを統合することで、敷地全体の包括的な3Dモデルを構築できます。

Q2. どちらの方がBIMとの相性がいいですか?

BIMモデルとの連携においては、3Dスキャンの方が相性がよいといえます。3Dスキャンの点群データからBIMモデルを生成する「Scan to BIM」は、既存建物のBIM化において標準的な手法になっています。ドローンデータは主に地形モデルやCIMとの連携に活用されます。

Q3. ドローン測量に資格は必要ですか?

2022年12月から「無人航空機操縦士」の国家資格制度が開始されました。第三者上空での目視外飛行(レベル4飛行)を行う場合は一等資格が必要です。それ以外の飛行でも、二等資格の取得や飛行許可の申請が推奨されます。

Q4. 費用を抑えたい場合はどちらがおすすめですか?

対象範囲と目的によります。広大な屋外の地形測量ならドローンの方がコストパフォーマンスが高く、建物内部の計測なら3Dスキャンが費用対効果に優れています。まずは目的を明確にしたうえで、専門業者に相談するのが最も確実です。

まとめ:現場に合った測量手法を選んでデジタル化を加速しよう!

ドローン測量と3Dスキャンは、それぞれ異なる強みを持つ測量技術です。広範囲の屋外測量にはドローン、屋内空間や設備の高精度計測には3Dスキャン、大規模プロジェクトでは両方の組み合わせが最適解になります。

大切なのは、「何のためにデジタル化するのか」という目的を明確にしたうえで、最適な手法を選択することです。

弊社Advalayは、3Dスキャンによる空間デジタル化を累計5,000件以上手がけてきた専門企業です。「ドローンと3Dスキャン、自社にはどちらが合っているか」といったご相談にも対応しております。現場のデジタル化にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

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Advalay編集部
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