Scan to BIMとは?3DスキャンからBIMモデルを作成する方法と費用

Scan to BIM(スキャン・トゥ・ビム)とは、3Dスキャナーで取得した点群データをもとに、BIM(Building Information Modeling)の3Dモデルを作成する手法です。

2023年度からの国土交通省によるBIM/CIM原則適用に伴い、既存建物のBIMモデル化ニーズが急速に高まっています。しかし、竣工図面が残っていない建物や、改修を重ねて図面と現況が一致しない建物は少なくありません。Scan to BIMは、この「既存建物のBIM化」という課題を解決する実践的な手法として注目を集めています。

本記事では、Scan to BIMの基礎知識から作業の流れ、費用相場、活用事例、導入時のポイントまでを解説します。既存建物のBIM化を検討している設計事務所や施工会社の方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

Scan to BIMとは?基本の仕組みを解説

Scan to BIMは、大きく分けて「3Dスキャンによるデータ取得」と「点群データからBIMモデルへの変換」の2つのプロセスで構成されています。

3Dスキャンで現況を正確にデジタル化

まず、対象の建物や設備をレーザースキャナーなどの3Dスキャン機器でスキャンし、点群データ(ポイントクラウド)を取得します。点群データとは、空間内の数百万〜数億個の点の座標値(X・Y・Z)と色情報を持つデータのことです。

弊社Advalayでは、据え置き型レーザースキャナーやモバイルスキャナーを使用し、累計5,000件以上の3Dスキャン実績があります。Scan to BIMにおいては、スキャンの品質がBIMモデルの精度に直結するため、適切なスキャン計画の立案が非常に重要です。

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点群データからBIMモデルを作成

取得した点群データをBIMソフトウェア(Autodesk RevitやArchicadなど)に読み込み、点群をトレースするようにして壁・床・天井・柱・配管などのBIMオブジェクトを作成していきます。

このプロセスは「モデリング」と呼ばれ、Scan to BIMの中で最も時間と専門知識を要する工程です。単なる3Dモデルではなく、各要素に材質・寸法・用途などの属性情報を付与するのがBIMモデルの特徴です。

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Scan to BIMの5つのステップ

Scan to BIMの具体的な作業フローを5つのステップで解説します。

STEP1:現地調査とスキャン計画の策定

対象建物の規模・構造・用途を事前に調査し、スキャンの範囲・精度・スキャンポイント(スキャナーの設置位置)を計画します。

計画時に決めるべき項目:

  • スキャンの精度要件(LOD: Level of Detail)
  • スキャン範囲(全フロア / 特定エリアのみ)
  • 立入制限エリアの有無
  • スキャンのスケジュール(営業時間外など)

STEP2:3Dスキャンの実施

計画に基づいて現場で3Dスキャンを実施します。据え置き型レーザースキャナーの場合、1ポイントあたりの計測時間は約5〜10分です。建物1フロアで10〜30ポイント程度が必要です。

スキャン規模ポイント数目安所要時間
小規模(100㎡以下)5〜10ポイント半日
中規模(500㎡程度)15〜25ポイント1日
大規模(1,000㎡以上)30ポイント以上1〜2日

STEP3:点群データの処理・統合

各ポイントで取得した点群データを、専用ソフトウェアで位置合わせ(レジストレーション)し、1つの統合点群データに仕上げます。ノイズの除去や不要データの削除もこの工程で行います。

STEP4:BIMモデリング

統合した点群データをBIMソフトウェアに読み込み、壁・床・天井・柱・梁・配管・ダクト・窓・ドアなどのBIMオブジェクトを作成します。

LOD(Level of Detail)別のモデリング内容:

LOD内容用途
LOD 100建物の大まかな形状・ボリューム基本計画
LOD 200主要な構造要素(壁・柱・床)基本設計
LOD 300開口部・設備を含む詳細モデル実施設計・施工
LOD 350接合部・取り合いの詳細施工調整
LOD 400製作・据付レベルの精密モデルファブリケーション

多くのScan to BIMプロジェクトでは、LOD 200〜300が求められます。

STEP5:品質チェックと納品

完成したBIMモデルと元の点群データを重ね合わせ、乖離がないか品質チェックを行います。許容誤差(一般的に±5mm〜20mm)内に収まっていることを確認し、データを納品します。

Scan to BIMの費用相場

Scan to BIMにかかる費用は、「3Dスキャン費用」と「BIMモデリング費用」の合計です。

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費用の内訳

項目費用目安備考
3Dスキャン15万〜80万円建物規模・フロア数による
点群データ処理5万〜20万円レジストレーション・ノイズ除去
BIMモデリング30万〜150万円LODと範囲による(最もコスト変動が大きい)
品質チェック5万〜15万円点群との照合・修正

規模別の総額目安

建物規模総額目安期間目安
小規模(100㎡以下 / 1フロア)50万〜100万円2〜3週間
中規模(500㎡程度 / 3フロア)100万〜250万円1〜2か月
大規模(1,000㎡以上 / 5フロア以上)250万〜500万円以上2〜4か月

費用を左右する最大の要因はLOD(モデルの詳細度)です。LOD 200であれば比較的低コストで済みますが、LOD 300以上になると配管・ダクト・電気設備などの詳細モデリングが必要になり、費用が大きく増加します。

3Dスキャン単体の費用相場については、こちらの記事で詳しく解説しています。

Scan to BIMの活用事例3選

Scan to BIMが実際にどのような場面で活用されているか、3つの事例を紹介します。

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事例1:築30年のオフィスビルのリノベーション

背景: 竣工図面と現況に大きなズレがあり、改修設計の基礎データが不足していた。

Scan to BIMの活用: 全フロアを3Dスキャンし、LOD 300のBIMモデルを作成。設備配管の位置も含めた正確な現況モデルを構築。

効果:

  • 現況図面の作成期間を2週間から3日に短縮
  • 改修設計の手戻りがゼロに
  • 設備干渉チェックを3D上で完結

事例2:病院の増築計画

背景: 既存病棟と新棟の接続部の設計に、正確な既存建物データが必要だった。

Scan to BIMの活用: 接続部周辺を重点的に3Dスキャンし、構造体と設備のBIMモデルを作成。新棟の設計データと統合してシミュレーションを実施。

効果:

  • 接続部の設計精度が飛躍的に向上
  • 施工段階での設計変更がゼロに
  • 工期を2週間短縮

事例3:歴史的建造物の保存・修復

背景: 重要文化財の木造建築について、修復計画のベースとなる正確な3Dデータが必要だった。

Scan to BIMの活用: 建物全体を非接触で3Dスキャンし、構造部材のBIMモデルを作成。経年変化による変形や損傷箇所をデジタルデータ上で把握。

効果:

  • 修復部材の事前製作が可能になり、現場作業期間を短縮
  • 修復前後の比較データを高精度で記録
  • デジタルアーカイブとしての長期保存を実現

Scan to BIM導入の3つのポイント

Scan to BIMの導入を成功させるために押さえておくべきポイントを3つ紹介します。

ポイント1:LODを最初に明確にする

「どこまで詳細なBIMモデルが必要か」を最初に決めることが、コストと品質のバランスを取る鍵です。基本計画段階ならLOD 200、実施設計ならLOD 300というように、目的に応じたLODを設定しましょう。

必要以上に高いLODを設定すると、費用と期間が大幅に増加します。逆に、LODが低すぎると後工程で使い物にならないモデルになるリスクがあります。

ポイント2:3Dスキャンの品質がすべてを左右する

BIMモデルの精度は、元となる点群データの品質に依存します。スキャンポイントの配置が不適切だったり、オクルージョン(遮蔽物による死角)が多かったりすると、モデリング時に推測に頼る部分が増え、精度が低下します。

弊社Advalayでは、累計5,000件以上の3Dスキャン実績をもとに、対象建物に最適なスキャン計画を策定しています。Scan to BIMを前提としたスキャンでは、通常のスキャンよりも密度の高いポイント配置を行い、死角を最小化します。

ポイント3:スキャンとモデリングをワンストップで依頼する

3Dスキャンとbimモデリングを別々の会社に依頼すると、データの受け渡しロスや認識のズレが発生しやすくなります。可能な限り、スキャンからモデリングまでを一貫して対応できるパートナーに依頼するのが効率的です。

Scan to BIMでよく使われるソフトウェア

Scan to BIMの作業で使用される代表的なソフトウェアを紹介します。

点群データ処理

ソフトウェア特徴
Autodesk ReCapRevitとの連携がシームレス。点群の表示・編集・エクスポートが可能
FARO SCENEFAROスキャナー用の純正ソフト。レジストレーションの精度が高い
Leica CycloneLeica社製スキャナー向け。大規模点群の処理に強い
CloudCompareオープンソース。点群の比較・フィルタリングに使用

BIMモデリング

ソフトウェア特徴
Autodesk Revit国内シェアNo.1。Scan to BIMの標準ツール
Archicad意匠設計に強い。点群読み込みに対応
Tekla Structures鉄骨・鉄筋の構造モデリングに特化

よくある質問(FAQ)

Q1. Scan to BIMの精度はどれくらいですか?

一般的なScan to BIMプロジェクトでは、BIMモデルと点群データの乖離が±5mm〜20mm以内に収まることを目標とします。据え置き型レーザースキャナーを使用した場合、元の点群データの精度は±1〜2mmなので、モデリングの工程で若干の誤差が加わります。

Q2. 古い建物でもScan to BIMは可能ですか?

はい、可能です。むしろ、竣工図面が残っていない古い建物ほどScan to BIMの価値が高いといえます。図面の有無に関係なく、3Dスキャンで現況を正確にデジタル化できます。

Q3. Scan to BIMにはどれくらいの期間がかかりますか?

建物の規模とLODによりますが、小規模(1フロア)で2〜3週間、中規模(3フロア程度)で1〜2か月が目安です。3Dスキャンの実施自体は1〜2日で完了しますが、モデリング作業に最も時間を要します。

Q4. Scan to BIMで作成したモデルはFM(ファシリティマネジメント)にも使えますか?

はい、活用できます。BIMモデルに設備の型番・メンテナンス情報・保証期間などの属性情報を追加することで、FM用のデータベースとして運用可能です。建物のライフサイクル全体を通じた維持管理の効率化に貢献します。

まとめ:Scan to BIMで既存建物をデジタル資産に変えよう!

Scan to BIMは、3Dスキャンで取得した点群データからBIMモデルを作成する手法であり、既存建物のBIM化において最も実践的なアプローチです。リノベーション計画・設備管理・文化財保存など、幅広い場面で活用されています。

成功の鍵は「LODの明確化」「3Dスキャンの品質」「ワンストップ体制」の3つです。特に3Dスキャンの品質がBIMモデルの精度に直結するため、実績豊富なパートナーとの連携が重要になります。

弊社Advalayは、3Dスキャンによる空間デジタル化を累計5,000件以上手がけてきた専門企業です。Scan to BIMを前提とした高品質な3Dスキャンから、モデリングパートナーとの連携支援まで対応いたします。既存建物のBIM化をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

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