3D Gaussian SplattingとMatterportの違いとは?費用・精度・用途を5つの観点で徹底比較
3D Gaussian Splatting(以下、3DGS)とMatterport(マーターポート)は、どちらも空間をデジタル化する技術ですが、仕組み・費用・得意な用途がまったく異なります。
「3DGSという技術が出てきたけれど、Matterportとどう違うのか」「バーチャルツアーを導入したいが、どちらを選べばいいかわからない」という声をいただく機会が増えてきました。
Advalayは3DGSとMatterportの両方を実案件で扱ってきた空間DXの専門企業です。本記事では、両技術の違いを5つの観点から比較し、用途別の選び方まで具体的に解説します。自社に合った技術を選ぶ判断材料として、ぜひ参考にしてみてください。
3D Gaussian Splatting(3DGS)とは
3D Gaussian Splatting(3DGS)とは、複数の写真や動画からAI(機械学習)を使って空間を3次元データとして再構成する技術です。
2023年に論文が発表された比較的新しい手法で、空間内の各点を「ガウス分布」と呼ばれる楕円体で表現するのが特徴です。従来のフォトグラメトリ(写真測量)やNeRF(ニューラル・ラジアンス・フィールド)と比較して、レンダリング速度が速く、光の反射や素材の質感をリアルに再現できることから注目を集めています。
撮影にはスマートフォンや一眼レフカメラなどの汎用機材が使えるため、専用機材を必要としない点もメリットの一つです。ただし、高品質なデータを生成するには撮影の角度・枚数・照明条件に関する専門的なノウハウが求められます。

Matterportとは
Matterportとは、専用の3Dカメラ(Pro2・Pro3など)や対応スマートフォンで空間をスキャンし、インタラクティブなバーチャルツアーを作成できるクラウドサービスです。
2011年のサービス開始以来、不動産・建設・製造業・教育機関など幅広い業種で導入されており、バーチャルツアーの業界標準として定着しています。
スキャンしたデータはクラウドに自動アップロードされ、Webブラウザ上で閲覧・共有できるバーチャルツアーが数時間で完成します。タグの挿入、フロアプラン表示、寸法計測、Webサイトへのiframe埋め込みなど、ビジネス活用に必要な機能が標準で備わっているのも特徴です。
Advalayではバーチャルツアーを累計3,000件以上制作しており、その多くがMatterportを用いた案件です。
3DGSとMatterportを5つの観点で比較
両技術の違いを整理するために、まず比較表をご覧ください。
| 比較観点 | 3DGS | Matterport |
|---|---|---|
| 撮影機材 | スマートフォン・一眼カメラ(汎用機材)・専門機材 | 専用3Dカメラ(Pro2/Pro3)または対応スマホ・Thetaなど |
| 納期 | 長め(AI処理+編集に数日〜数週間) | 短い(スキャン後、数時間〜1日で完成) |
| 視覚的リアリティ | 高い(光・質感・素材感の再現に優れる) | 高い(360度の没入感と空間把握に優れる) |
| インタラクション機能 | 限定的(Unity・WebGLへの組み込みが前提) | 充実(タグ・計測・フロアプラン・埋め込み) |
| 費用感 | 高め(処理・編集コストが変動しやすい) | 安定(撮影費+月額クラウド利用料) |

それぞれの観点を詳しく解説していきます。
撮影機材:3DGSは汎用カメラで対応できる
Matterportは原則として専用カメラ(Pro2・Pro3)を使用します。iPhoneのLiDARスキャン、Thetaなどの360°カメラにも対応していますが、業務品質のバーチャルツアーを制作するなら専用カメラが基本です。そのため、制作会社が機材を所有し、運用に慣れているかどうかが仕上がりの品質を左右します。
3DGSはスマートフォンや一眼レフで撮影した動画・写真をもとに3Dデータを生成が可能です。近年、専用機材の販売なども広がってきております。
機材によって、生成されるデータの品質は大きくことなります。
スマホや一眼レフからでも生成が可能でしたが、撮影・編集スキルが必要だったのに対し、データを生成するという点では専用機材が出てきたことにより、データの生成を行いやすくなりました。
納期:短納期ならMatterportが有利
Matterportはスキャン後にクラウドへ自動アップロードされ、数時間〜1日程度でバーチャルツアーが完成します。タグやフロアプランの追加・編集もWeb上で即座に行えるため、撮影から公開までのリードタイムが非常に短いのが強みです。
一方、3DGSは撮影データをもとにAIのトレーニング処理を行い、その後にクリーンアップ(不要部分の除去)や編集作業が入るため、データ量や品質設定によっては数日〜数週間の処理期間がかかることもあります。
「来週の展示会に間に合わせたい」「物件公開に合わせて即日アップしたい」といった短納期の案件では、Matterportのほうが確実に対応しやすいといえます。
視覚的リアリティ:3DGSは「自由な視点」で突出
3DGSとMatterportの視覚的な違いは、「映像のきれいさ」ではなく視点の自由度にあります。
Matterportは定点(Sweep)ごとに高品質な360度ビューを提供しますが、見られる位置はあらかじめ決まっています。定点と定点の間をワープする形式のため、「あの角度からもう少し寄って見たい」といった自由な視点移動はできません。
一方3DGSは、空間を連続的な3Dデータとして再構成するため、任意の位置・角度からシームレスに閲覧できます。カメラを自由に動かしながら、金属の光沢やガラスの透過感といった素材の質感を、好きな距離・角度から確認できるのが最大の強みです。
高級不動産の内覧で「窓際から室内を見渡す」、製造業の設備記録で「配管の裏側を覗き込む」といった、**決まった定点では捉えきれない視点が必要な用途**で3DGSが力を発揮します。逆に、間取り・動線・設備配置を効率よく把握したい用途では、Matterportの定点ベースの構造的な見やすさがむしろ適しています。
インタラクション機能:Matterportは「すぐ使える」完成度
バーチャルツアーとしての「使いやすさ」では、現時点ではMatterportが大きくリードしています。
Matterportに標準搭載されている主な機能は以下のとおりです。
- タグ・ラベル挿入: 各所に説明文・画像・リンクを付与できる
- フロアプラン表示: 俯瞰図から各エリアにジャンプできる
- Webサイトへの埋め込み: iframeで企業サイトに簡単に設置できる
- 寸法計測ツール: Web上で距離・面積の計測ができる
- モバイル・VRヘッドセット対応: デバイスを問わず閲覧できる
3DGSはUnityやWebGLに組み込むことで独自のインタラクションを構築できますが、開発工数がかかるため、「撮影してすぐWebサイトに公開したい」という運用には不向きです。
逆に、オリジナルのUI設計やVRアプリへの組み込みが必要な高度なプロジェクトでは、3DGSの自由度の高さが活きてきます。
費用感:Matterportのほうが見積もりが立てやすい
両技術の費用を一概に比較するのは難しいですが、導入を検討する際の目安として整理します。
Matterportの費用目安
- 撮影・制作費: 5万円〜30万円程度(空間の広さ・箇所数による)
- クラウド利用料: 月額数千円〜(プランにより異なる)
- 追加編集: タグ挿入・フロアプラン追加などは比較的低コストで対応可能
3DGSの費用目安
- 撮影・制作費: 数十万円〜(品質要求・空間の複雑さにより変動幅が大きい)
- 処理・編集費: AI処理時間とクリーンアップ工数に依存
- プラットフォーム費用: 公開先・用途によって異なる
Matterportは費用体系が明確で見積もりが立てやすいのに対し、3DGSは品質と制作条件によって費用が変動しやすい傾向があります。
ただし、3DGSのツールは急速に進化しており、今後は制作コストが下がっていく可能性も十分にあります。

3DGSがおすすめなのはこんな場合
3DGSが適しているのは、「定点では捉えきれない自由な視点が必要」なプロジェクト
- 高級不動産・ホテルの内覧: 窓際からの眺望、素材感・採光を好きな角度から確認したい場合
- 製造業の設備・機械の精密記録: 配管の裏側や機械の隙間など、決まった定点では見えない箇所まで確認したい場合
- 観光施設・文化財のデジタルアーカイブ**: 来館者が自由に歩き回るような没入体験を再現したい場合
- VR・メタバース向けコンテンツ: UnityやWebGLへの組み込みが前提で、連続的な3D空間が必要な開発
- 製品・ブランド品のEC展示: あらゆる角度から細部まで確認できる「触れそうな」立体体験を提供したい場合
逆に、「すぐにWebサイトで公開したい」「複数拠点を一括管理したい」といった運用面の要件が強い場合は、次に紹介するMatterportが有力な選択肢になります。
Matterportがおすすめなのはこんな場合
Matterportが適しているのは、「実用性・スピード・運用コスト」を重視するプロジェクトです。
- 不動産の物件紹介・内覧: 撮影からWeb公開まで最短で完結。定点ベースの360度ビューで間取り・動線が直感的にわかる
- 建設・施工現場の定期記録: 同じ定点から繰り返し撮影でき、時系列での変化比較に強い
- 製造業の設備管理・保守記録: 寸法計測機能で現場データをそのまま業務に使える
- 採用・教育向けバーチャル見学: 操作性が高く、閲覧者が直感的に使いこなせる
- 多拠点・複数施設の一括管理: クラウド基盤でデータの集約・共有がしやすい
弊社Advalayでは、バーチャルツアーを累計3,000件以上制作してきた中で、不動産・建設・製造業・教育機関など幅広い業種のMatterport案件を手がけてきました。業種ごとの活用パターンや費用感についても、お気軽にご相談ください。

両技術を組み合わせるという選択肢
3DGSとMatterportは「どちらか一方」だけを選ぶ必要はありません。
たとえば、施設全体の構造把握や日常的な記録にはMatterportを使いつつ、エントランスやショールームなど「見せ場」となるエリアには3DGSの高精細なビジュアルを組み合わせるという活用法も考えられます。
また、Matterportで蓄積した空間データをベースに、将来的に3DGSやデジタルツインへ発展させていくという段階的な導入アプローチも選択肢の一つです。
両技術を実案件で扱ってきた立場から、Advalayでは用途・予算・納期に応じた最適な組み合わせをご提案しています。「どちらが自社に合っているか判断がつかない」という段階からご相談いただくケースも多いので、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
3DGSとMatterportはどちらが安いですか?
現時点ではMatterportのほうが費用体系が明確で、1件あたりのコストも安定している傾向にあります。3DGSは品質や空間の複雑さによって費用が大きく変動するため、まずは用途と予算をお伝えいただいたうえでお見積もりするのが確実です。
3DGSで作ったデータはWebサイトに埋め込めますか?
WebGL対応のビューアを使えば埋め込み自体は可能ですが、Matterportのような標準的な埋め込みコードがワンクリックで発行される仕組みは現時点では整っていません。Webサイトへの埋め込みを最優先にする場合は、Matterportのほうがスムーズに対応できます。
3DGSは今後Matterportに取って代わりますか?
技術としては異なるアプローチなので、一方が他方を完全に置き換えるという関係ではありません。3DGSは「自由な視点移動と連続的な3D体験」、Matterportは「実用的な機能と運用性」と、それぞれの強みが異なります。用途に応じて使い分ける、あるいは組み合わせるのが現時点では最も合理的な選択といえるでしょう。
まとめ:自社の用途に合った空間デジタル化技術を選ぼう
本記事では、3D Gaussian SplattingとMatterportの違いを5つの観点から比較しました。
–3DGS: 自由な視点移動と連続的な3D体験が強み。定点では捉えきれない角度から空間を確認したい用途に向く。費用や納期はやや読みにくい
–Matterport: 実用的な機能が充実しており、不動産・建設・製造業の現場活用に強い。定点ベースの高品質ビューで空間構造を効率よく把握できる。納期が短く、費用感が安定している
– 組み合わせ 両技術を用途に応じて使い分ける・併用するアプローチも有効
どちらの技術も進化が続いています。大切なのは、自社の目的・予算・スケジュールに合った技術を冷静に見極めることではないでしょうか。
弊社Advalayは、3DGSとMatterportの両方を実案件で扱ってきた空間DXの専門企業です。累計3,000件以上の制作実績をもとに、貴社の課題に最適な技術と活用方法をご提案いたします。不要な営業活動はいたしませんので、まずはお気軽にご相談ください。
3D SCAN / DIGITAL TWIN
現場をそのまま3Dデータ化。デジタルツインを構築します。
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